5576-B01
Fru P/N 66G507
EC No. E67336
Manufactured for IBM Japan Ltd., Tokyo Japan
Made in Malaysia
ああ弟よ君を泣く / 君死に給ふことなかれ
などと切ない気持ちにさせてくるキーボードです。日本IBMが,栄光の5576系鍵盤の伝統の自己破壊を宣言したある意味で革命的なキーボードです。現在,秋葉原で大量に投売りされています。Aptivaに添付されて売られた関係で非常な低コストに作られています。しかし定価は17000円だったり15000円だったりします。くしくもこれは魅惑のキーボードの誉れ高い5576-003末期の価格と同じです。1500円なら十分納得いきますが,1万5千円とはすごい価格です。現在の秋葉原での流通価格によって,十分罰は当たっているかもしれません。
コードは本体にじか付けです。5576系にしては全体的に軽く,質感に欠けますが,安物のキーボードに比べればずっしりした感じは得られると思います。(新しい間は)巷のキーボードの平均値よりも優れている,と言っても反論はあまり出ないと思います。
ロゴ周りがC01に似ているといったような外観の問題を除き,それ以前の5576系鍵盤のどれにもまったく似ていません。それ以前の5576鍵盤があまりにもすばらしかったので,比較するのがかわいそうです。中身は丸ごとミツミに作らせたと聞いています。薄膜接点+ゴム椀ばねだと思います。新品のタッチは十分使える水準です。固めに設定されたキーに,IBMの伝統がわずかに伺えます。現行品プリファードと同系統であるといえます。新品で比べれば,Aptivaと同じ価格帯のパソコンに添付されたキーボードと比べて,好ましいと感じる人も多いと思います。
ただその経年劣化が激しいために,ゴム椀式の名機とはとても紹介できないのが残念です。初めはしっとりとしていい感じなのですが,使いつづけると,キーがテカテカしてきて,表面が黄色に変色し,タッチがカサカサしてきます。下の写真でも0キーが黄変しています。分解する気にならないので正確なところは知りませんが,おそらくゴム椀が劣化して,弾力がなくなっているのだと思います。こういう状態になると,キーが固いにもかかわらず,深く押し込まないとスイッチが入らないようになり,打っていて手が疲れます。
2001年8月現在,Webで見る限りIBMのオプションでの取り扱いは終わったようで,新品入手は難しくなってきています。ただ,新品にこだわらなければ,中古品を扱う業者でいたるところに見ることができます。Yahoo Auctionsでも1000円以下で手に入ると思います。これまた安価な5576-001とセットで買って,IBMロゴでも愛でつつ,5576系の栄光と挫折を感じてみるのもそれなりに知的な趣味といえます。